毎日新聞 2005.12.13
毎日新聞 2005.12.14
毎日新聞 2005.12.15
西日本新聞 2005.12.15
上の毎日新聞「危険な計算」(下)に書かれているように、総研の指導を吸収した木村建設(東京支店)が 総研の傘下という位置から上に上がるため、所謂「ホテルルート」ではなく「マンションルート」でコスト・工期の縮小を図ったところに今回の震源があったのではなかろうか。 それは、姉歯の証言にあるように、最初の偽造がグランドステージ池上(マンション)であったという点が示している。
内河の証言中もっとも印象的だったのは、質問者が、マンションでの偽造に触れた際、「私はマンションには係ってない。 木村には何度もマンションは止めろと言った」と答えたが、内河の答弁中この言葉が一番心より発せられたものに聞こえた。 「止めろ」と言った言葉の心には、総研の傘下を離れて独り歩きを始め、売上を伸ばしていった教え子を、自家薬籠中のものにはできていないパートに手を出して火傷しないようにと、純粋に諌めるというだけではなく、 木村建設・ヒューザーの繋りに対する嫉妬というものが感じられてならなかった。
証人喚問のあと種々の報道で、 総研が構造計算書・柱断面のスケッチまでつけて設計者に指示を出しているメモをもって、鬼の首でも取ったがごとく(越権行為)圧力云々を立証したかのような論調だが、 カリスマコンサルタントであればそれくらいのことは言うだろう、構造に詳しいスタッフがいるんだから。 そこが一般の経営のみのコンサルタントとは区別化している業者だもん。 受ける構造設計はこれまた専門家だ、その指示が無理(自分の技量として・構造計算規準に準拠しての二種類あるが)ならその旨を返せばいいだろう。
ここでは、断れなかったのは受注の継続のためという姉歯の言の是非をいっているのではない。また、この指示が圧力になったかどうかもここでは問題にしていない。 コンサルタントとして設計に口を出すことそのものはちっともおかしくないということを言っているのである。だって、社員25人中一級建築士が5人もいるんだよ、そのうち構造系が何人・設備系が何人かは知らないが。 その四ケ所メモ中、(「構造設計で鉄筋の使用量が一平方bあたり百十九`になっている。 多くても七十五−八十五`で収めてほしい」は、ややいき過ぎであるにしても)「杭の本数は一本でも少なければ喜ばしい」 「もう少し経済的におさめようという気持ちで構造担当者は設計してもらいたい」という文言そのものから即圧力というのは、これこそ強引な押付けであり、一般企業のオーナーでも言うだろうこれくらいのことは(といって、総研の正当性をいっているのではない)。 同じ日の毎日新聞で左の記事も見かけたが、この数値の裏付となる文章は他で確認できなかったし、 あまりにも極端な数字であって信憑性は窺えないのだが。確認業務でいえば、チェック項目のマニュアル通りにやっていれば今回の偽造は見つからず素通りするシステムになっていたのかもしれない。 確認業務で、構造に対する一方の意匠の面から見ると、チェッカーは面積計算の(計算ミスを含めた)数値錯誤の指摘に喜びを感じているとさえ申請者側から皮肉られるほど(あえて言えば)実のない確認作業を行い、 確認通知書の発行となっていることでも分かるとおりである。
確認業務の官・民差については下の記述も同日毎日紙面であり、まさにその通りである。


とともに、民間確認検査機関には、確認業務能力の劣る(実務経験のない)行政OBが天下っていると言っていて、そうすると民間の質も落ちるという矛盾も含んでいるし、規制緩和・民営化の弊害も問題となってくる。
上の神田順教授は文中「検査機関の誰かが止めてくれるという甘い考えがあったのではないか。」と述べているが、姉歯は検査機関のチェックに掛ったのを受け、 「ほら見ろ、あんた(篠塚支店長)が言うからこれだけ鉄筋を減らして出してみたけどやっぱりこんなものは通りゃしないだろうが、最初に俺のやったのが最上の経済設計だったんだ」と、 自分の技術の確かさを専門の第三者を通して誇示したい気持ち(「甘い考え」とは違った)があったというように考察するが。

※ 偽造では極端に鉄筋が減らされている事実を聞き、確認検査員が構造図で異常さに気づかなかったことにずっと疑問を持っていたが(意匠設計士でも骨密度を見るが如く感覚的にスカスカに見えるはず)、 12/17、NHK・TV番組で、アンケートを取った検査員の2/3が「鉄筋の少なさに疑問を持った」という結果が出たと報じていた。が、「それじゃ・それから」のアクションが起されていなかった無策がある。
被害者というにはあまりに自己責任のなさ・他人頼みの住民3人も画面に登場し、聞き捨てならないことを言った。曰く「自己責任といわれるが、4・5万払って建築士に同行してもらい物件検討の上購入した者もいれば、中には40万を支払った者もいる」と。 1日分の日当+α の対価で今回の偽造を炙り出すのは無理ということでもあり、それで責められる建築士は気の毒だが、40万も戴いてこっちの建築士は何をしていたんだということにもなる。
このことにも関連して、公的資金投入に関する一つの見解を下方に転載する。
サンデー毎日 2006. 1.22

毎日新聞 2005.12.11
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毎日新聞 2006. 1.20↓
毎日新聞 2006. 1.21↓
毎日新聞 2006. 1.22↓
毎日新聞 2006. 1.24↓
上で最下行に、
”地下10階・地上1階の誤記入を見逃している”とあるが、実はこんなの、面積計算の小数点以下の数値のとりかた、連続計算・切捨て等を”指導”するくらいしか能のない、 或いは書類審査上それ以上に立ち入れない検査員の性。例えこれを見逃していようと、構造計算・図を的確にチェックしていれば何の問題もない事柄である。
もっとも面積に関しては、建ペイ率・容積率という基準法に直接係ってくる部分があるので、数字の取扱いはシビアさが要求されるところではあるが。
また、前記地上・地下に関しては、上表のフォーマットにも無理がある。

すなわち、一般に(建築業界でも)建物の階数を言う(記す)場合、地上○階・地下△階と、 地上階から先に言う(記す)のが普通である。記入者はルーティンで、10階・1階を記入したものと思われる。
確認申請プログラム中でも、ともすればMS-DOS時代に望ましい将来像と捉えられていた、ウィジ(ズ)ウィグ=WYSWYG(What You See is What You Get)が実現されていず、隔靴掻痒の感否めずのシチュエーションは大いに改良の余地ありである。
毎日新聞 2006. 4.19 ↓

− 荒牧 千e Aramaki Kazuhide −
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