京急事故 マニアック見解
 

※ 以下、茶色文字箇所が私見を述べている
当時の事故写真は ここ にある。

@
A
B
C
 
D
E
F
  上図にはちょうどこのT字路にトラックが差しかかっている、これならなるほど左折は簡単そうだ。
だが、本件のトラックは車幅 2.5M、車長 13M とあったから、と軌間 1.067Mからその車体を割り出してスカイブルーでプロットしてみたのが下図である。
上図に較べ明らかに圧倒的圧迫感が増したことは否めない。
が、グリーンに舗装された舗道と白線で区切られた車道部との段差が無視できれば、更には左前の建物(京急関連の施設であることは他書込み等に明かされている)前面の空地?まで拝借すれば、重ねて前記、京急社員の手を借りれば 容易とはいかずとも何とか曲れそうだが。
(F図上 @abix82 もそう書いている)

G
それより、実際に本件トラックが行なった右折のほうが鋭角でもあり左折より困難そうに見える。


次に、「電車は何故停まらなかったか?」であるが、私見では、事故のニュース当初から「ブレーキは効いてなかった」と思っている。
“効いていない”は甚だ曖昧な表現であるが、「緊急停止の急ブレーキが少なくとも運転手の初動操作時時点からは作動してなかった」と。
その理由は判らないが、大胆に云うと(考えられないことでもあるが)制動の初動操作では「停止」までは考えず、「減速」相当のブレーキ操作をし、踏切上のトラックを目視できる位置まで 走ってきて初めて「(緊急)停止」の操作を行ったとすれば、以下の乗客の証言などが、ストンと腑に落ちる。

先ず接した最初のニュースで一両目の乗客が「スマホを見ていたら、前のほうから数人「後へ逃げろ」と叫びながら走ってきた。ナイフでも持ってる人がいるのか?と思っていたら横から数人が自分の上に倒れこんできた」と話すのを聞いてすぐに上の「ブレーキは(少なくとも最初からは)効いてなかった」と感じた次第。

いくらスマホに心を奪われていようと、「緊急制動」がかかれば座席上でも“身構え”の動作が出るのが普通だろう。前から走ってきた数人は正に走り出す前、運転手と同時にトラックを眼にし、片や走り出し、片や警笛を鳴らし緊急制動操作に入ったのではないか。


京急線事故に遭った乗客から語られた運転士と駅員の対応
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190905-00010002-bfj-soci

上では、四両目乗客のブレーキに関する話が載っている。
これも“二段ブレーキ”の現象を示しているとしか思えないのである。

ただそれでも衝突時の電車の速度はまだ相当速かったと思える。衝突後トラックを側壁との間隙に押し込めながら
90mも脱線しながら走っているのだから。
下には衝突時の激しさを語る声が。

京急脱線「ぶつかる」「逃げろ」 警笛、悲鳴乗客パニック
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201909/CK2019090602000149.html


ATSなどについてWEB上では、

事故現場の踏切内の異常を知らせる信号は約340メートル手前にあり、電車の運転士は信号からさらに約260メートル手前で信号を見ることができた。つまり約600メートル手前で確認できた状況で、その時点で急ブレーキをかけていれば、100メートル近く手前で止まることも可能だった。
信号は運転席から見えやすい位置にあり、京急は「見落とすことはない」と説明。実際、運転士はその信号の発光を確認し、「急ブレーキをかけた」と説明している。  
それでも、電車は止まれなかった。電車が最高時速120キロで走行していたとすれば、1秒間の遅れで約33メートル進む。わずか数秒の遅れで100メートル近く通り過ぎる場合もある。  
鉄道事故に詳しい関西大の安部誠治教授(交通政策論)は「時速120キロの高速の電車を停止させるためには、信号の視認とブレーキのタイミングが重要。間に合わなかったのであれば、踏切への進入区間の時速を100キロ以下に落とすなど考えなければいけない。
人の能力の弱点を補うため自動ブレーキはあった方が安全だ」と強調する。


京急側の話として、“自動ブレーキ”ATS(Automatic Train Stop)ではなく手動での操作を採用しているのは、「橋の上、トンネルの中」など不都合な場所での停止を避けるためもあるとしている。

下図で非常ボタンを押している人物は休憩中通りかかって、トラックの左折切換し時に後方確認を頼まれた(ドライバーが左折を諦めたため一時立ち去った)京急社員2人(運転士・車掌)のうち、運転士のほうだとあった。
踏切異常の非常信号は既に発信されているということもあるだろうが、見るからに落着き自信満々な頼もしい後姿である(快特は確実に手前で停まると信じている・・・と見える)。



とともに、WEB上にもあまた存在するヒューマンコントロールの利点を見逃せない部分も確かに多々ありそうだ。


復旧の早さBR> 京急事故、わずか2日後に復旧の離れ業 社風は「トラブル時こそ…」
href=https://news.livedoor.com/article/detail/17046251/

京急は今でもポイント操作は手動だった これが人身事故から迅速に運転再開できる理由か?
https://matome.naver.jp/odai/2149061615105891101

逝っとけダイヤとは?
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11120406121

F図上部、@abix82 の言に「左折して、・・・一旦停車させ警察官を呼んで・・・」 とあるが、実際、大型車が立ち往生した場合最初にすることは、110番し、警官の誘導・指示を得ることというのが正しい措置で、大型ドライバーには周知させられているらしい。

ところで、踏切での激突の説明図において、WEB上に毎日は間違った絵を朝日は正しいそれを掲載していた。
ただし、トラックの全長については、12m、13mと情報が錯綜していて正確な仕様は、W:2.〇〇m、L:12.○○mなのであろう。
−毎日−
−朝日−
 
 

実際、毎日のようにトラックの先端部にブツかっていれば京急は進行左側へ脱線、傾いていたろうし、実際の現場写真のようにトラックを進行左側・側壁との間に押しつぶす形になることもない。

最後に、結果的に踏切内に入ることが出来たトラックが、なぜ遮断桿を押し破って踏切を越えてしまわなかったのか(対向車線に車輌が待っていてもトラックの進行車線に車輌はいなかったであろうに)?が謎として残る。

も一つ最後の最後に、横浜の道路事情・行政の悪さがこの事故の遠因だというのが本ページの始まりであったが、http://toakes.co.jp/pleas/business/city-plan.html にそのワケが。



以下は、事故後1年数ヶ月を経て、初めて接した事後経過である。

https://mainichi.jp/articles/20201009/ddl/k14/040/083000
京急線踏切事故 千葉の運送会社、運輸局行政処分
/神奈川 毎日新聞2020年10月9日 地方版

横浜市神奈川区の京急線の踏切で2019年9月、快特電車と大型トラックが衝突した事故で、関東運輸局は8日、トラックを運行していた千葉県の運送会社に複数の法令違反があったとして、60日間の事業停止などの行政処分を出した。

処分を受けたのは千葉県香取市の運送会社「金子流通サービス」。同局は19年9〜12月に計4回、立ち入り検査を実施。貨物自動車運送事業法や道路運送車両法など計12件の法令違反が確認された。

同局によると、同社は運転者への指導や健康状態の確認を行う運行管理者や車両の整備管理者を選任せず、運転者の点呼も実施していなかった。経営者が同じ別の会社でも同様の違反が確認され、60日間の事業停止処分が出された。

この事故では、トラックを運転していた男性(67)が死亡。県警は事故についてトラック運転手の自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いなどで調べを進めている。【池田直】


(写真説明)
現場踏切の約570メートル手前から見える発光信号機(緑色の丸印)。電柱の間からで見えづらい位置にある=横浜市神奈川区で2019年9月13日(京急電鉄提供)


この事故においてトラック運転手は死亡している。運送会社にも上掲の過失・違反があったことは間違いないのであろうが、はたして電車の運転手の措置はまったく問題なかったのか?の疑問は残ったままである。
570M手前という説明写真の信号は確かに見辛い。だが撮影位置(運転手の目線として)数M進めば信号は電柱の右に出る。「注視」していれば信号見落としは考えにくいがそれでは何故踏み切りの手前で電車は停まらなかったのか?は解明されたのであろうか。


− 荒牧 千e Aramaki Kazuhide −
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