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週刊文春 2011. 7.28

連なる日本家屋から光が漏れ出す。 この光景が碁盤の目状に広がる 写真を縮小する 写真を拡大する 

 大阪は西成、山王地区の一角にその町はある。表通りから、「飛田新地料理組合」と記された大きな看板に導かれるまま足を踏み入れると、そこに夢かと見まがう世界が広がる。
 脇に建つ高層マンション群とは対照的に、その一帯だけが碁盤目状に区切られ、昔ながらの日本家屋が建ち並ぶ。仮に場所の価値が、そこを舞台に繰り広げられてきたドラマの濃度に比例するとする。ならばそこは、各地の世界遺産とも遜色なく肩を並べるであろう、日本古来の「遊郭」の佇まいを今に残す、約2万坪の異空間。夕暮れ時になればほとんどの玄関は開け放たれ、それぞれに縁起物とされる梟や蛙の置物、胡蝶蘭などの植物が置かれる。
 町に飛び交う、呼び込みに勤しむおばちゃんたちの「おにいさん、どうぞ」「いらっしゃい」という声。床からのライトが、玄関の真ん中に座って手を振る娘たちの笑顔を妖しく照らし出す。
 この町を、男たちは一人で、または気心の知れた仲間同士で、時には車で流しながら思い思いに徘徊する。 直感が「この娘」と教えてくれた出会いはその場でものにしなければ、後でそこに戻っても、もう会えない。玄関口で交渉がまとまれば、男はその娘と2階へ上がることが許される。
 「遊郭」の歴史は遡れば豊臣秀吉の時代や、もっと言えば奈良時代から、あらゆる激動の時を経て存在してきた。同時に、例えば最近では外国客が増えたりと、いつも時代の変化を如実に映し出している。しかし、これまでは外部の人間による取材、撮影を正面から受け入れたことはほぼなく、「飛田新地」は知る人だけに知られる町であり続けてきた。
 飛田新地料理組合で組合長を6期、12年間にわたって務め、本年度年始に勇退したばかりの塚本幸夫氏(69)に話を聞いた。

平行に走る5本の 通りから飛田は成り立つ

大正時代の遊郭にタイムスリップ
伝説の花街  
飛田新地探訪 

撮影   岩根 愛 
取材・文 有太マン

大正時代、日本最大とも言われた遊郭の空気をそのまま21世紀に伝える街、飛田新地。特別に撮影が許可された貴重なカットで、欲望と矛盾、猥雑と伝統とが複雑に渦巻く街を訪ねる
明治時代の大火を経てつくられた
飛田。そこかしこに大正の息吹が。

店構えの様式が定着した当初から暖簾は徐々に短くなり、ライト設置の定着もここ約20年
昭和33年、飛田新地を廓楼組合から小料理屋申請の料理組合とする試みを発案した「若貴」

毎年正月とお盆期間、約500個もの提灯に美しく彩られた町の姿も必見 組合執行部はボランティア。参加基準は、どれだけ町への想いが強いか。

「 一日働いてここに来た勤労者が『明日も家のため、町のために、よっしゃ、しっかり働いたろ』と思えるのが、歓楽街のあるべき姿。私は『根っこはそこや』と、若い役員に言い続けて辞めました」
 社会に向けて「こんなん必要やないか」と、押し付けがましく伝えようとする考えは毛頭ない。むしろ、「矛盾のひとつを抱える町として認知してください」と、どうしても外の世界とは違う「飛田のロジック」で町が成立してきた側面も理解している。 「確かに昔は、女の子が逃げないための壁が町を囲み、門は施錠されていました。しかしそのカベは同時に、外界の治安が悪かった時代に『中のほうが安全や』と言われるほど女の子を護り、飛田を一種独特の空間に育てたとも聞きました」
 人間社会が抱える矛盾を引き受ける立場だからといって、大きい顔をするわけでもない。
 「社会から疎まれて儲けるんやなしに、相互理解を求めて、飛田のコミュニティで一定の社会的役割を担っていけたらと思うんです。お祭りと似た、やり手がおって、まわりの観衆がおってという、微妙なバランス。遊びに来てくれる人がおる以上、認知されているんですから」
 今日も飛田では、貴重な遊郭の歴史が生きた形で受け継がれている。
 「実際私もそうでしたし、今このまわりの子らも、何の違和感もなく飛田新地を通って学校行ってます。まあ中学生やったら、特にクラブ終わって帰ってくる時間帯、思春期なら普通に『ああっ』と気付く。それで高校行って初めて『ここは特殊な場所やったんや』と知るんです」
 過去はもちろん、これから先の未来もこの場所は、私たちが生きていく上で抱える、生物としてまっとうな欲望と矛盾に向き合うことになる場所なのだろう。
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