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右は直近に裁定が下された、敷金返還裁判の判決要旨である。
あいにく、本裁判に関する予備知識がまったくないので、も一つ争点を掘り下げられず、素人考えを逞しくできないことは残念の極みだが、 判決文のみでも粗方は賃貸人VS賃借人について現在の風潮が分る。
即ち借地借家法の改正で明渡し等に関しては少し賃貸人のほうに傾いた天秤も、敷金の行方については次々と賃借人の懐が重くなって天秤を元に戻しているという訳である。
(西日本新聞 2005.12.17)

敷金訴訟・最高裁判決要旨
 16日、最高裁第二小法廷が言い渡した賃貸マンション敷金返還訴訟の上告審判決の要旨は次の通り。

 【争点】
 訴訟の争点となったのは、本件マンションの賃貸借契約で、賃借人に物件の原状回復と修繕費負担区分表に基づく費用の支払を求めた約定が、通常損耗(普通に暮らした場合の汚れや傷み)の補修費用を上告人(原告の男性)の負担とする内容かどうかなどである。負担区分表中の要補修の「基礎になる状況」には、ふすま紙・障子紙は「汚損(手あかの汚れ、たばこのすすけなど生活することによる変色含む)」、床や壁は「生活することによる変色、汚損、破損」などと記載され、補修費用は賃借人の負担としている。
 【二審判決】
 二審大阪高裁の争点に対する判断の概要は、次の通りである。
(1)賃借人が契約終了により負担する原状回復義務には、特約のない限り、通常損耗によるものは含まれず、その補修費用は賃貸人が負担すべきであるが、これと異なる特約を設けることは、契約自由の原則から認められる。
(2)本件賃貸人の大阪府住宅供給公社(被上告人)が作成した修繕費負担区分表は契約書の一部であり、通常損耗の補修費用も退去者が負担するとし、上告人は負担区分表の内容を理解した旨の書面を提出していることなどからすると、通常損耗の補修費用の一部について、上告人が負担することを定めた内容の契約が成立している。
 【判断】
 しかしながら(2)は是認できない。その理由は次の通りである。
 賃借人は契約が終了した場合には、賃借物件を原状に回復して賃貸人に返還する義務がある。契約は賃借人による物件の使用とその対価としての賃料の支払を内容とするものであり、物件の損耗発生は賃貸借という契約の本質上当然に予定されているものである。それゆえ建物の賃貸借においては、賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる物件の劣化、価値の減少を意味する通常損耗にかかる投下資本の原価回収は通常、減価償却費や修繕費などの必要経費分を賃料の中に含ませて、その支払を受けている。
 そうすると、賃借人に通常損耗の原状回復義務を負わせるのは、賃借人に予期しない特別の負担を課すことになる。
 賃借人に同義務が認められるためには、少なくとも、賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が契約書の各項自体に具体的に明記されているか、仮に契約書で明らかでない場合には、賃貸人が口頭で説明して賃借人がその旨を明確に認識し、それに合意したと認められるなど、その旨の特約(以下、通常損耗補修特約)が明確に合意されていることが必要と解するのが相当である。
 これを本件についてみると、契約書には通常損耗補修特約の内容が具体的に明記されていない。また負担区分表についても、要補修状況を記載した「規準になる状況」欄の文言自体からは、通常損耗を含む趣旨であることが一義的に明白とはいえない。
 したがって、通常損耗補修特約の成立は認められない。また被上告人の説明会でも、通常損耗補修特約の内容を明らかにする説明はなかったといわざるを得ない。
 そうすると、上告人は契約締結にあたり、通常損耗補修特約を認識し、これを合意の内容としたものということはできないから、通常損耗補修特約の合意が成立しているということはできない。
 【結論】
 以上によれば、大阪高裁の(2)の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、破棄を免れない。通常損耗を除く補修費用の額についてさらに審理させるため、本件を差し戻す。

− 荒牧 千e Aramaki Kazuhide −
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