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八っつぁん |
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「ご隠居、人間はどうして生きてるんでしょう?」 |
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ご隠居 |
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「八っつぁんや、お前さんも今までにとても嬉しいことに出会って、『ああ、生きていて良かった』と思ったことが一度や二度はあるだろう。」 |
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八っつぁん |
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「そりゃぁあっしだってそんなこたぁ何度かありますよ。」 |
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ご隠居 |
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「八っつぁん、人間は、『ああ、生きていて良かった』と思うために生き続けてるのさ。ところで八っつぁんはどんなときそう思った?」 |
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八っつぁん |
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「そうですね、あっしゃやっぱりなんですね、ご隠居も知ってるとおり、かかあが癌で胃袋取っちまったでしょ、その手術のあと麻酔から醒めたときが一番嬉しかった気がしますね。」 |
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ご隠居 |
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「そうかい。命がある、生きてるってことが一番ありがたいことなんだよ。命と言やぁ子供が生まれたときなんぞも嬉しかったろう。」 |
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八っつぁん |
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「そうそう、あっしんとこはガキが遅かったんで生まれた時ゃぁほんと嬉しかったね、ガキを一人前にする苦労があるなんてぇことは、そん時ゃぁこれっぽっちも思いつかねぇで有頂天でしたよ。」 |
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ご隠居 |
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「そうだろう、子供というのはそういうもんだよ。成長につれ心配も絶えないが、無邪気な子供の間、精一杯親を嬉しがらせ楽しませてくれているんだよ。その恩返しに親は一生懸命子供を育てなければならないんだよ。」 |
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八っつぁん |
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「言われてみりゃぁ全くそんとおりですね。というこたぁ、あっしを生んでくれた親に感謝しなきゃいけねぇってことですかい?」 |
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ご隠居 |
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「八っつぁん良いところに気がついたじゃないか。全て『感謝の心』ということだよ。」
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※『明鏡国語辞典』編者 北原保雄 編、『問題な日本語』(大修館書店 2005年2月発行)によると、
−−−「おとっつぁん」、 「ごっつぁん」、「八つぁん」は正しい表記だが、 「八っつぁん」とはしない。
−−−とあった。
したがって、上の表記は誤りとしなければならないか。
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