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  このトリックは、絞殺した死体の首に巻かれたロープを木の枝・鴨居等を介してつり上げ、足下に踏み台に替わるものを転がしておき、自殺を偽装するやり方である。
 この際、偽装者が死人より優位であれば(ここで物理的には、絶対条件として体重により優位であることを示す。膂力の強弱その他の身体能力は関係ない。)矛盾は起こらない。
 ところがよくある設定として、女性が明らかに体重差のある男性をテクニックを駆使して(ここに作者の意が注がれる)、吊すことを可能にする。
 内田康夫原作だったと記憶するTVドラマでは(原作を知らないので、脚本のみの瑕疵であった可能性もある)、鴨居に掛け渡したロープに括られた男性の引き上げを容易にするため女性が、鴨居の上に氷を置いて滑りをよくした事実を、体力的見地から嫌疑の範囲外にあったにも拘わらず、賢明な推理者により見破られ犯人と指摘されるのである。
 どんなに滑りをよくしても、定滑車を介している場合より効率がよいことはあり得ない。
  算数・理科の社会では、定滑車の抵抗は零だからである。
 序でに小学校の勉強に戻って、定滑車1個では力の方向が変わるだけで効率の向上は得られない。
 つまり、両側に同じ重量が懸かって釣り合い、両者に差があれば重い方が下がる。お分かりのとおり、この女性が希有の膂力を持っていようと、どんなに身体能力が優れていようと、吊そうとする男性より体重が軽ければこのトリックは使えないのである。
 単に理科的にいえば、この女性に上記のごとき優れた背筋力なりがあって、身体が宙に浮かないための足掛かり等があれば、或いは動滑車を複数個使うことで一旦宙吊りにした上で、 ロープの一端を固定物に緊結することができれば(この際にも、また一つ別の、かなり難しい細工が必要になるが)このトリックは成り立つ。
  しかし、誰がそんな理科の実験然としたトリックになど興味を示そうか。

− 荒牧 千e Aramaki Kazuhide −
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