花魁道中
廓 ・ 花魁

写真右下に、PROSTITUTE HOUSE(遊女館とでも)とある 
廓ったってあたしゃあ時代的にも間に合ってないし、かといって文献をひっくり返し調べたわけでもない ただ気に入った噺家・志ん生、文朝の語りの中から廓・花魁を想像するばかりなんだが

まず、志ん生の“居残り左平次” https://www.youtube.com/watch?v=c3EleVi1KvE(現在は削除させられている模様)を聴くと、廓通いの上中下が出てくる
上はこず(上の人は廓通いはしない)
中は昼来て昼帰り
下は夜来て朝帰り
そのまた下下が居続けをして
そのまた下下が居残りをする
つまり、左平次は下の下、最下級ってことだ
そして左平次が居残りをする廓は最もポピュラーな吉原じゃなく、品川だ
品川というと、吉原より高かったらしく、志ん生は左平次の連れに「南(品川)は安くねぇだろう、橋向こうなら安いがなぁ」と言わしてる

はっきり記憶に残ってるわけじゃないが、圓生あたりが演る左平次は、なにかしら強面の陰気な男をイメージしていて、好みの噺じゃなかったが、志ん生をゆっくり聴いて大分印象が変わった
また、文朝の左平次 https://www.youtube.com/watch?v=TCjCcjhcB_Y は更に陽気だ

(店先の若い衆(わけーし)と話がまとまり店へ上がるくだりを“付き馬”で志ん生は、)
トントントントントントン、と幅の広い梯子を上がって行くときは、人間は何事があろうともそんなことは考えなくなっちゃうからね

上がりきって、引付けというところへ通る。 引付けったって目ぇ回すとこじゃない
引付けというのは、初めて自分の買うその女に会うところ、これ、引付けといいますな
学校じゃ教そえないんだこりゃぁな

(You Tube 上には、志ん生の“付き馬”が少なくとも3種はアップされているが、「学校じゃ・・・という台詞が入っているのはこれ https://www.youtube.com/watch?v=_nXHFEw-Zkc だけのようだ。

そこへおばさんてぇのが出てきます
おばさんてったって身寄り頼りじゃない、仮の名をやり手てぇますねぇ
やり手てぇからくれるかと思うと貰いたがってしょうがねぇ


(女の声色で)あぁ、どうもすいません、うン、ご無理いってね、えぇ、 いいえぇ、

ナンテ、年頃サンジュウシッパチからシジュウに掛かるところ、髷(まげ)に結って眉毛(まみえ)落として、唐桟(とうざん)の襟付きの着物に八反(はったん)と黒誦(くろじゅす)の腹合わせの帯を引っ掛けに結んで、食い込むような白足袋に赤い煙管をぶ(る)下げて入ってくる

(女の声色で)この娘(こ)よ、いい娘(こ)でしょ、ウン、あのぅ、また裏ぁ返してね
どぅいぅことにしましょう

(男)そうだね、まあ初めてだからね、うン、ちょいと一杯呑もうか

で、芸者を揚げて宴席、一きり踊りなど騒いでお引けとなる


吉原の遊び方
http://home.a05.itscom.net/hotaru/page165.html

廓で2階へ上がる階段は「幅が広い」と話されていて、志ん生・文朝とも、階段ではなく梯子と言っている

若い衆とは客引きで、牛太郎(ぎゅうたろう)、略して牛(ぎゅう)ともいわれ、江戸訛で「ワケーシ」と発音する

引付は、引付け座敷・引付け部屋ともいう

やり手、遣り手婆(やりてばばあ)、遊女の指導・手配をする女

上では特に語られてはいないが、初めての女と逢うのを初会、2度目に行くのが裏を返す。
3回目以降の馴染みでやっと打解けてくれる(床入りが叶う)。
文朝も真っ当な客なら、「遊びに来てだよ、裏を返さないのは男の恥、馴染みをつけさせないのは花魁の腕の鈍いぐらい心得てる」もんだと言っている。

志ん生の(女の声音)が素晴らしく、また、何の意味もなしていない前半の台詞が、いかにも自然で、場を表す応対らしく聞こえる(筆記文では伝えようがないが)
同じように、江戸下町・女言葉に長けてる(と言われていた)文朝の“居残り左平次”中の(女の声音)も流石
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− 荒牧 千e Aramaki Kazuhide −
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